「愛」についての論理的な啓蒙書−お勧めです。おすすめ度
★★★★☆
「愛」について社会心理学的に書かれた、学術論文的な一冊です。
翻訳がほとんど直訳に近いため、何が主語でなにが目的語か理解するのに苦労します。
また、一文が長いのでさらに理解が難しく、200ページ弱の本ですが、
読み終えるのにかなり時間がかかりました。
読み流すような本ではないと思います。
何度も繰り返し読んで行くうちに理解を深めて行くのでしょう。
専門家による和訳の利点として、むずかしい専門用語がうまく和訳されており、
原書を読むよりは日本語として直感的に理解できます。
内容ですが、「愛すること」とは鍛錬によって習得できる技術であって、
たまたま陥る状態ではないこと強調しています。
そして、大切なことは「愛すること」であって、「愛されること」ではない事も
一貫して主張されています。
また、母なる自然から離脱し、自分達で作り上げた人間社会の中において
なぜ人間は「愛」を必要とするのか、その「愛」とは何なのか、
そしてどうすれば「愛」を得られるのか、ということが書かれています。
社会心理学的見地から見た人類への「愛」を唱えているので、
個人的な自己中心的「愛」は含まれていません。
それでも、この本を読めば心に響くところが必ずあると思います。
確かに、フロイトの理論やキリスト教徒の理念などを知らないと
良くわからないところが出てきますが、そういうところを除いてみても
得るものはたくさんあると思います。
とにかく、和訳された日本語が少々難しいです。
もっと多くの人に読んでもらうために、
もっと優しい日本語で書かれた和訳本の出版を期待します。
現代で信じられている“愛”の誤りを指摘するおすすめ度
★★★★☆
全編を通してフロイトに対する反論が多く述べられています。
本書の読者は、ある程度フロイトの理論を理解していることが前提となって
います。フロイトの知識に欠ける人に対する配慮として、聖書の引用を用い
た例も多数見られるのですが、これはキリスト教を信仰している欧米人には
有効でも、そうでない場合は効を奏しません。このため、フロイトやキリス
ト教の教義についての知識に欠ける人物は、少々苦戦を強いられることにな
ります。しかし、苦戦を強いられるのは、心理学発展の歴史について述べた
部分のみであり、フロム自身の愛の定義は難解なものではなく、言葉も平易
なら用いられる例えも解りやすいので、誰でも理解することが出来ると思い
ます。
解って貰えなくて良いおすすめ度
★★★★★
愛とは、対象の価値ではない。あくまで、愛する主体の愛する力量に懸かっている。
そのことを、この書は改めて納得させてくれる。
だから、自分の愛する人の自慢話(容姿、地位とか)など無意味になる。どんなにその人を愛しているか、言い換えるなら理解しているかを自分でわかっていれば、自分はすばらしい恋愛をしているのだと思う。
フロムの論展開とは、まったく違うところでの感想だが、このレビューに同感する人は、この書をぜひ読んでいただきたい。
表現の至らなさゆえにこのレビューが解らない人も、まずこの書を手にとって欲しい。
one of my 座右の書おすすめ度
★★★★★
難しいことを易しく書いてあるところがすごい。しかし、やはり難しい。
現代社会は市場原理で支配されており、より多くより早く消費することが善という価値観に満ちている。自由のようでそうした流れに屈している。
愛することは技術である。集中力が必要だ。快眠のヒントがこんなところにあった。「どんな活動でも、それを集中してやれば、人はますます覚醒し、そして後で、自然で快い疲れがやってくる。精神を集中させないで何かをしていると、すぐに眠くなってしまい、そのおかげで、一日の終わりにベッドに入ってもなかなか眠れない。」→はっとさせられた。
物事の基準を損得勘定、悪しき平等主義、市場原理のみにおいてはならない。愛されるより愛する。愛するとは与えること。・・・深い。折りに触れて何度でも読み返したくなる一冊。
A MUST!おすすめ度
★★★★★
愛すると言うことに関して、多くの本が出版されていますが、この本をじっくり何度も読むだけで十分でないでしょうか?年を重ねて、人生の中で何度も読み返す価値のある本です。そのたびに新たな発見ができます。
すばらしい
おすすめ度 ★★★★★
非常に素晴らしい一品だと思います
。これだけは手に入れようと思い購入を決めました。
ホント満点を付けても良い出来です。