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環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ (新書y)

石 弘之
おすすめ度:★★★★★
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環境の専門家による壮大だが切実で面白い鼎談
おすすめ度 ★★★★☆

本書は、20万年前に誕生した現代型新人の飽くなき知恵と欲望が、現代人類の繁栄をもたらすと同時に、地球環境の悪化による危機をももたらしている経緯を、環境学・環境考古学・比較文明史の3人の論客が環境史の視点から論じあって、人類の滅亡回避の可能性を探ろうという、ある種壮大な鼎談書である。各論者の発言には、それぞれの専門分野における膨大な知識と人間や文明に対する哲学的意見が込められていて、とても知的好奇心を満足させてくれる読み物になっている。

本書によれば、古代文明が誕生して文献史料の残っている時代だけでなく、それ以前から現代型新人は地球環境に大きな影響を与えていたようだ。ユーラシア大陸に広がった現代型新人は、先住のネアンデルタール人と違って、自分たちの食糧として必要分以上の動物を殺したらしく、この頃マンモスを始めとして多数の大型哺乳類が絶滅したのは人為的要因が大きいらしい。現生人類の遺伝子には非常に強い欲望の因子が存在するのではないかと問いかけられる。

現代社会は、人間の食欲・性欲・楽をしたい欲求のすべてがいいこととされ、金を儲けてそうした欲望を満喫できる人間こそが偉いという時代になっているが、これらの欲望のコントロールが出来るかどうかによって、近未来の人類社会がソフト・ランディングするのか、破局を迎えるのかが決まるだろうという予測が語られて本書は終わる。ところで鼎談でも触れられていたが、日本には環境問題を最重要課題として掲げる政党が存在しないのは何故だろうか。社民党が改名して「緑の党」として活躍することを期待したいものだ。



これからの文明のあるべき形とは
おすすめ度 ★★★★☆

 日本の将来や子供達の未来を考えていく上で、環境は避けて通ることのできない大切な問題であり、市民一人ひとりが高い意識を持つことが求められています。
 他方、環境に関する議論は、「文明は善か悪か」、「貧困撲滅と生態保全はどっちが大事か」、更には「人の労働の価値をどう評価するか」など、大なり小なり論者の世界観や価値観が反映する場合が多いようです。したがって、我々初学者にしてみれば、どんな本を読めばよいのか慎重に考えて選ばないと、とんでもない時間の無駄をする羽目になりかねません。
 その点、本書は、環境学の石教授、環境考古学の安田教授、そして比較文明論の湯浅教授という、我が国環境論の大御所三大家が揃い踏みで鼎談を行うという企画です。環境論や環境史の最もメインストリームな問題意識や考え方が、カジュアルな語り口で、見事に集約されています。20万年に亘る人類文明の道のりを、気候変動や自然環境とのインタラクションという視点から総括していくという趣向ですが、その随所で、古来の文明の在り方に対する反省や、農業・牧畜等と自然環境との緊張関係に関する指摘などがなされています。
 本書の中では、今後の文明の在り方を考えていく上では、即物的に環境保全の努力だけでは限界があり、文明や幸福の在り方に関する市民レベルの意識変革など、「心の問題」を考えていくべきという主張がなされています。大切なことを教わったように感じました。



今の文明は持続するか?
おすすめ度 ★★★★☆

原始時代から現在までの地球環境の変化と人間の文明との関わり、文明の発生とその発展による環境破壊の結果滅びた文明などを、3人の学者のフリートークの形でまとめています。地球上で再生可能な資源を上手に利用した文明は持続し(森の文明・植物文明・足るを知るやさしさの文明と表現している)、資源を掘り返し略奪する文明(家畜の文明・動物文明・剥き出しのエゴの力の文明と表現している)は最終的に滅びることを世界史の観点から語り、今の私たちの暮らし方が、略奪型の文明に偏っている様子を浮き彫りにすることで、地球環境の危機的状況の警告となっています。環境問題に関心がある人はもちろん、地球上に生きるすべての人が理解すべき内容が書かれています。是非読んでみてください。



文明は生まれたときから環境と戦っていた
おすすめ度 ★★★★★

環境史という、気象学・考古学・経済学といった、自然・人文・社会の
学問分野横断的なまったく新しいアプローチで、我々に新たなパラダイムへの転換を迫ります。
それによると、文明は生まれたときから環境と戦っており、それは今でも続き、
しかもその戦いはますます激しくなっているということになります。
さらに後半では、現代文明の基礎となり、我々が常日頃からその恩恵を受けている、
近代西欧文明がいかに環境に対して多大な負荷を与える性質を持った文明であるのか
ということが、一部感情的にもなりながらも滔々と述べられます。
どうも本書を読む限りでは、早晩この現代文明社会は環境の壁にぶち当たり、
大転換を迫られることになりそうです。
環境史という視点がないと、100年以上のスパンを見据えた温暖化問題も
エネルギー問題も南北問題も経済成長問題も、論じることはできないのです。



勉強の取っ掛かりとしては最良の本です
おすすめ度 ★★★★★

環境の自然な変化が人間に及ぼした様々な影響。
人間が環境を改変し、その結果生じた社会の激変。
三人の一級の学者の鼎談は、従来の人間中心の歴史観では見えなかった歴史の実像を明らかにしてくれます。

鼎談なので、引用文献が殆ど示されないのは残念ですが、星一個の減点に値するほどではありません。考古学、歴史書、文学まで及ぶ三人の知識の引き出しから、次々と明かされる歴史のファクトが、タイトルどおりの「環境と文明の世界史」をありありと示してくれます。

後で調べてみようと思って、面白いエピソードにマーカーをつけながら読んだら、本が真っ黄色になってしまいました。これからの参考文献探しが大変です(笑)。


はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★

これが発売されるのを心待ちにしていました 。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
ホント満点を付けても良い出来です。



安田弘之 動画

安田弘之



寺田有希 安田弘之 悪魔城ドラキュラ