原始時代から現在までの地球環境の変化と人間の文明との関わり、文明の発生とその発展による環境破壊の結果滅びた文明などを、3人の学者のフリートークの形でまとめています。地球上で再生可能な資源を上手に利用した文明は持続し(森の文明・植物文明・足るを知るやさしさの文明と表現している)、資源を掘り返し略奪する文明(家畜の文明・動物文明・剥き出しのエゴの力の文明と表現している)は最終的に滅びることを世界史の観点から語り、今の私たちの暮らし方が、略奪型の文明に偏っている様子を浮き彫りにすることで、地球環境の危機的状況の警告となっています。環境問題に関心がある人はもちろん、地球上に生きるすべての人が理解すべき内容が書かれています。是非読んでみてください。
文明は生まれたときから環境と戦っていたおすすめ度
★★★★★
環境史という、気象学・考古学・経済学といった、自然・人文・社会の
学問分野横断的なまったく新しいアプローチで、我々に新たなパラダイムへの転換を迫ります。
それによると、文明は生まれたときから環境と戦っており、それは今でも続き、
しかもその戦いはますます激しくなっているということになります。
さらに後半では、現代文明の基礎となり、我々が常日頃からその恩恵を受けている、
近代西欧文明がいかに環境に対して多大な負荷を与える性質を持った文明であるのか
ということが、一部感情的にもなりながらも滔々と述べられます。
どうも本書を読む限りでは、早晩この現代文明社会は環境の壁にぶち当たり、
大転換を迫られることになりそうです。
環境史という視点がないと、100年以上のスパンを見据えた温暖化問題も
エネルギー問題も南北問題も経済成長問題も、論じることはできないのです。
勉強の取っ掛かりとしては最良の本ですおすすめ度
★★★★★
環境の自然な変化が人間に及ぼした様々な影響。
人間が環境を改変し、その結果生じた社会の激変。
三人の一級の学者の鼎談は、従来の人間中心の歴史観では見えなかった歴史の実像を明らかにしてくれます。
鼎談なので、引用文献が殆ど示されないのは残念ですが、星一個の減点に値するほどではありません。考古学、歴史書、文学まで及ぶ三人の知識の引き出しから、次々と明かされる歴史のファクトが、タイトルどおりの「環境と文明の世界史」をありありと示してくれます。
後で調べてみようと思って、面白いエピソードにマーカーをつけながら読んだら、本が真っ黄色になってしまいました。これからの参考文献探しが大変です(笑)。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
ホント満点を付けても良い出来です。