この映画は、次の2場面が全てを象徴的にそして見る者に感動の極みを与えるものだと私は思った。一つは進二が「日本は戦争に負けた」と聴いて井戸端で河原崎の胸元で泣きじゃくった所、大人とはまた違った「戦争の重み」を背中に感じつつ疎開生活を送っていた幼い子供心に敗戦の一言は大きな打撃を与えたものと思う。耐え難い空しさがこの仕草に万感の思いをもって迫ってくる。もう一点は最後のシーン。列車の最後尾から見る、片手を大きく差し伸べる大原君の姿。色んな事があった疎開地での子供の世界。素直な真っ直ぐな心を持った子供達の都会人と田舎者とのギャップを「憧れと嫉妬」で描き切ったこの映画は、戦争経験の無い私ですが、何回見ても毎回感動の涙が出て止まらない。
進二の心の葛藤が描き切れていない,不要なサイド・ストーリーおすすめ度
★★★★☆
ボリュームのある原作漫画「少年時代」を2時間弱に収めるには多くの内容を割愛せざるを得なかったのだろうが,進二がケンスケの誘いに乗ってタケシを裏切るようになるところは,その根拠となるストーリー展開が弱いように感じた.ミナコに腰巾着と言われたり,タケシから仲間はずれにされる場面を描きながら,ケンスケの仲間に入っていく流れを描いているが,そうあっさりと裏切るのだろうか,という印象を持った.
また,フトシの姉(仙道敦子)を登場させ,好きな男性と会うために深夜,親に怒られながら出かけて行ったり,男性が出征する場面で泣き叫ぶ場面,また,逢引の場面を描いたりしているが,どうしてこのサイドストーリーを描く必要があったのか疑問だ.このサイド・ストーリーを描く時間を,少年たちの描写にあててほしかった.
ちなみに,フトシの姉が海岸で逢引きする場面で服を脱ぐシーンがある.5歳の子供と観ていたので説明に苦慮した.幼児と見る人は注意が必要.
素晴らしい!おすすめ度
★★★★★
何度観ても本当に素晴らしい映画!
何といっても、疎開先のガキ大将、大原武の魅力がすごい!!冷たいけど、優しい。何とも言えない不思議な魅力‥。
そして、あのラストシーン!このラストシーンの強さは、映画が多数ある中でもトップクラスだと思う!悲しいような、切なくて美しくてなぜか懐かしい、全編に漂うあの空気感がまた良い☆
好きな映画おすすめ度
★★★★☆
知名度の低い作品かもしれないけれど、私は好き。
しかし、柏原兵三著の長い道、藤子不二雄Aの少年時代で、描かれている武(長い道では竹下進)の本当の内面(集団の斉一性ではない)の描写が、イマイチのような気もする。 だが、どこか私たち(視聴者)と近いものがあるから、わたしは、この作品が好きなんだと思う。 過去への愛惜の念、富山の美しい四季折々の風景、少年たちの葛藤…日本人なら、一度は見た方が良い映画。
せつなすぎおすすめ度
★★★★★
何度見ても胸が熱くなります。
戦時中、疎開先の田舎での少年たちの心模様。
子供でも大人でもない、「少年」時代。
剥き出しの心のふれあい、ぶつかりあい。
愛情、嫉妬、憎悪、独占欲・・・言葉では表現しきれない複雑な感情が
生々しく、鮮烈に描き出されていて、見ていてせつなく、苦しくなるほどです。
おそらく、誰の胸にも甦ってくるものがあるのではないでしょうか。
心に直に触れてくる映画だと思います。
出来は非常に良いです。
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。ファンであれば購入価値は高いかと存じます。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。
概要
昭和19年の秋、東京に住む小学5年生の進二(藤田哲也)は戦局の悪化に伴い、富山県の田舎に縁故疎開することに。そこで彼は子どもたちのリーダー格である武(堀岡裕二)と親しくなるが、彼は学校では性格が変わったように進二につらくあたるのだった…。柏原兵三の小説『長い道』と藤子不二男Aの同名漫画を原作に、『瀬戸内少年野球団』などの巨匠・篠田正浩監督が戦時中の都会と地元の少年同士の友情と確執を通して、昭和とは何だったのかを問いかける秀作。子ども社会の構図が、実は軍国主義の構図とも共通したものであり、子どもを描くことで当時の日本が見え隠れしていくという優れた計算がなされているが、それ以上にジュヴナイルとしても一級品であり、今は戻らない懐かしき時代への郷愁は決して回顧主義には陥らない。ラストに流れる井上陽水の同名主題歌も作品に貢献している。(増當竜也)