夫に愛人がいることが判明しても、なかなか決断が出せずにゆるゆると日常を送る「のゆり」。相手の女性は一人ではなく、無言電話や妊娠騒動など、あらゆる不幸が降りかかってくるのだけれど、のゆりは取り乱すことなくそれでも生きている。
こんな友人がいたら、「あんた、なにぐずぐずしてんの!早いとこ別れちゃいな!!」と助言するだろうことは確実ですが、意外と夫婦という契りを一旦結んでしまった二人には、単なる「好き」「嫌い」では推し量れない二人だけが持つ世界があって、そうそう簡単に結論は出せないんだろうな〜とも思いました。この本は白黒はっきりさせたい人には不向きでしょう。
湘南ダディは読みました。おすすめ度
★★★☆☆
恋愛結婚をした「のゆり」は夫、卓哉の不倫を知り、悶々とした気持ちのまま幼い頃から気心のしれた叔父と温泉旅行にでかけ、湯治場の従業員に不倫カップルと勘違いされるという最初の章の「風花」にはじまり、季節の移ろいの中でのゆりと卓哉の顛末が言葉静かに語られる作品です。「風花」はこれだけで独立した短編として味わいがある章ですが、巻末の初出をみると「風花」の発表から、幼い頃父親の不倫に悩む母親と雨中の山をさ迷い歩いた思い出「夏の雨」にいたるまでには約2年がたっていますので、作者はひょっとすると最初は短編「風花」で終えるつもりだったのかもしれません。
しかし宿の湯殿でのゆりが見た落書「死んだらおしまい」を、おそらく作者はのゆりに再生のテーマとして与えたかったのでその後の章を書きつないだのではないかと思います。
卓哉から別れてくれと言われながらも転勤先までついていき、卓哉の二人目の不倫の相手を知り、別居して自活するようになって、言うべきときに適切な言葉がでない「のゆり」はやがて次第に自らの殻をやぶり、縒りをもどそうとしてきた卓哉に決然として「おなか、すいた」といえる女になっていきます。
主人公の「のゆり」については、これほど優柔不断な若い女性っているのかしらとか、こんな妻をもったら亭主もいろいろ浮気をするだろうなという読者もいるでしょうし、愛とか恋とかは当事者二人だけのあやふやな概念的な約束ごとだからすぐに熱くなったり冷えたりもするけれど、夫婦とか結婚となるとあえて選択した社会的な制度なのでそうは簡単に棄てきれないのはわかるという読者もいるでしょう。
帯にあるように恋愛小説なのかは別として、若い女性の自立を声高にではなく描いた作品であることは間違いありません。
きっと現実ってこんな風おすすめ度
★★★☆☆
夫の浮気が発覚したというのに、なぜかゆらゆらとのんびり生きている主人公の「のゆり」。
「絶対別れたくない」なんて言ってるわりに、彼女が夫をそれほど深く愛しているようには感じない。
年の近い叔父と仲が良く、二人だけで温泉旅行に行ったり、
年下の男の子と親しくなって、お茶したりホテルに誘われたり、
女性から見たら「なんなの〜!この女!!」みたいな主人公。
読者はこの事態に同時に普段通りの生活を送るのゆりにイライラするでしょう。
でも、現実ってこんなものなのかも・・・。
どうすることもできなくて、前にも後ろにも進めなくて、
ただ「うまくいってた頃のように戻りたい」と思いながら時間だけが過ぎていく。
別れって劇的じゃなく、こんなふうに静かに受け入れていくものなのかなぁ。
追えば逃げられ、追われると逃げる。
そんな二人だったけど、最後ののゆりの選択はたくましい。
それまでは同性としてのゆりが嫌いだったけど、最後には見直してしまいました。
まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★
今回の発売がすごく嬉しいです
。ファンであれば購入価値は高いかと存じます。
ホント満点を付けても良い出来です。