単純に日本と比較はできないにせよ、考えさせられることの多い本おすすめ度
★★★★☆
森と湖の小国・フィンランドは、たしかにゆったりとしているし、
自然も豊かだし、教育水準も高い。
そういったプラスの面を紹介し、ある部分で日本の現在を見直すという点では評価できる。
ただ、社会保障制度が手厚い分、税金も高いこと、失業率や離婚率も高いことなど
マイナス面になるとややトーンダウンする。
それでも、高い税金をガラス張りで使っており国民からは大きな批判は出ていない。
これからの日本がフィンランドのような国をめざすかどうかはともかく
(国土面積は似ているが、人口がまったく違い単純比較はできないと思う)
「税金を有効に使う」という、国としてきわめて当たり前なことを
この本は教えてくれる。それはおそらく、著者自身が、フィンランドに批判はありつつも、
基本的には愛情を持っているからだと思う。
単純に「スローライフを見直そう」ということではなく、著者が言いたいのは、
女性の社会進出、透明性の高い税金の使途など、この国の「シンプルさ」ではないだろうか。
著者は文筆業でもあり、文章は非常に読みやすい。フィンランドに対する愛情は感じられるが
過度な思い入れもなく、読後感は爽やかでもあった。
フィンランドに関心があれば気持ちよく読める経験的フィンランド論おすすめ度
★★★★☆
フィンランドが教育水準の高さで日本でも広く知られるようになって以来、近年、とみにフィンランドに対して関心が高まっているようだ。本書はフィンランドの地方都市にある大学院に長く留学し、そのままフィンランドに就職した経験がある女性ライターが、フィンランドの文化や生活について語った経験的フィンランド論である。
フィンランドは表面上、決して豊かな国ではない。日本よりちょっと狭いほどの国土に、人口は500万人ちょっとと少なく、冬の気候が厳しく、とくにラップランドなどの北部地方は日照時間がごく短い。また、ロシアとスウェーデンという大国に挟まれ、大国のエゴに翻弄されてきた苦しい歴史を持っている。なぜそのような国を豊かと感じるのか。それは、フィンランド人が自然とうまく共存しているからではないかと著者は言う。そして実際に・・・と著者の異邦人としての体験や見解が述べられていく。
本書は地方紙への連載が元になっているので、広く一般読者の関心を引きそうなテーマをうまく拾っている。また、著者のフィンランドへの愛情が伝わり、実際に経験したことをその場の気持ちもまじえながら素直に述べているので、気分良く読めるフィンランド論となっている。
フィンランドの成功を、フィンランドが小国であることに見ている人が多いのかもしれないが、私は別のところにあるのではないかと考えている。わかりやすくするために日本と比べて考えると、日本とフィンランドの根本的な違いは税金の重さから派生しているのではないだろうか。
フィンランドは税金が高く、多くの家庭で共働きをしている。これは夫の収入でやっていけないだけでなく、女性の意識が高く、子供が出来ても社会で成功しようという意欲を維持できるからという面もあると筆者は言う。また、税金の使い道がガラス張りで、多くの国民が納得できる使い道をしていると述べている。また、そのため、(これは本書には書かれていないが)財政が福祉や教育に多く割かれ、女性の雇用機会を拡大している。かたや日本は世界水準から見ると、税金が安い国である(法人税は高いが)。高齢化が急速に進んでいることもあり、教育や福祉に割かれる支出が減少している。その一方で、財政支出の不透明さは相変わらずである。
税金が高いことは必ずしも悪ではない。日本に必要なのは、税金を上げ、福祉や教育に支出し、新たな雇用を生み出すことである。税金を上げるためには国民が納得できる内容であることがいちばん大切だ。だが・・・フィンランドの政治家や公務員のひたむきさや真面目さと日本のそれを比べると、絶望的な気持ちになってしまう。
最後にちょっとだけ揚げ足を取ると、経験談は面白いが、調べて書かれているところになるとまるで学校のレポートのようにトーンが落ちたのが少しだけ残念だった。とはいえ、全体的には高評価を与えたい。フィンランドに関心がある方はぜひご一読を。
買うしかない!
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。これを知らずして新しい時代のエンターテイメントは語れません。
ホント満点を付けても良い出来です。