よく調べてますおすすめ度
★★★★☆
日本の戦後は、平和憲法策定、教育改革、婦人解放、農地改革、財閥解体、などなど、世界史にも例をないくらい理念先行型の社会改革を推進していたわけだが、当然そんな180度ターンに耐えられるような社会などどこにもあるわけはなくて、戦後史を語る上では、そういうのを「スムーズに」進めるために暗躍した、アンダーワールドの人たちのことを無視できるはずがない。そういうカテゴリーの有名どころでは児玉誉士夫、笹川良一みたいなフィクサーとか(フィクサーってなんだって感じだけど)、ヤクザとかなんだけれども、これに加えて、本書でいきいきと描かれているような外国人たちの存在も無視できない。要は、法律とか日本のしきたりとか、そういう枠を超越したみなさんが、アクロバティックな癒着を成立させて日本社会は運営されていた(いる)わけである。日本人というのは、基本的に何かを決めることがとても苦手な人たちなので(一つ方向が定まるとがむしゃらに進めるのは方向転換とかの決定が苦手だからですね、きっと)、こういう人たちがいなかったら、かたつむりがびっこをひいたような社会になっていたでしょう。別にそれでもよいのだけど。
外国人たちというくくりで本書で主にふれられているのは、六本木を歓楽街として発展させていった男、ニコラ・ザペッティと、力道山(彼も北朝鮮出身である)である。力道山というのはなんだかすごい人で、これはまた何か別の本でも探して読んでみたい。とりあえず六本木にあるイタリアン・レストラン「ニコラ」は一度行ってみようと思う。
おもしろかった!!!おすすめ度
★★★★★
原書で読んだのでわからなかったところや、翻訳本がどんな感じなのかはわかりませんが、とにかくおもしろかった!!!日本はヤクザの国だ、と言われる所以がよくわかりました。諸説として読んでも最高だと思います。数十年前の日本のエネルギーってすごかったんですね。この本がきっかけでバブルについても興味を持ちました。差別的な意味ではなく”外人”だからこそ書けたのではないでしょうか。
ひとつの整理としておすすめ度
★★★★☆
概ね、このインターネット社会においては既に入手可能な情報が大半であるが読み物としてもなんだかとても読みやすく、いい感じ。
本筋のアンダーワールドといっても、当然ながら、外国人関係が目新しい情報であり、他はまあありきたりとはいいませんが、他でも入手可能な情報ですがそれらが結びつけられてまたあたらしい知識として再構成されている感じ。
政治がらみのアンダーワールド部分が弱い感じですがまあそれは現時点では難しいのかな、とも。
読んで損はない感じ。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度
★★★★★
言うまでもなく最高峰
。これは買わねばならないでしょう!
ホント満点を付けても良い出来です。
概要
第二次大戦後の日本における組織犯罪台頭の歴史を描く中で、著者のロバート・ホワイティング(日本野球についての優れた本『You Gotta Have Wa』の著者でもある)は、日本の政界と社会全体においてヤクザが絶大な影響力を持つようになったことと、一度は被占領国であった日本が世界でも有数の経済大国に上り詰めたことは、アメリカの力に負うところが大きいと言う。 ホワイティングが主役に選んだ、実在の人物ニック・ザペッティは、まだ占領地であった東京を訪れ、そこに居残ることを決意する。はした金狙いの詐欺家業で一花咲かせようとしていたが、だらだらと続いていた支払い不能の状態によって我に返り、ザペッティは思いつきでレストランをオープンする。困難を乗り越え、「ニコラスピザ」は東京に住む外国人、野球選手、芸能人、政治家、そしてもちろん地元の暴力団員が集まる50年代の人気スポットとなった。異国の地にレストランを開いた、容易には信用しかねる人物、ザペッティの経営者としての古き良き日の冒険が、この実話の骨子となっている。背後からいつ刺されてもおかしくないような野蛮な環境、ビジネス社会の不正取引など、ヤクザ社会と区別がつかないほどオーバーラップすることが多く、どこでひとつのエピソードが終わって、また次が始まったのかが判然としない。しかし、ホワイティングは巧みに、彼が言うところの「壮大なる富の移行(アメリカから日本へ資本を移すこと)」の過程を詳細に描き出している。なぜアメリカの外交政策(そして共産主義への恐怖)が、知らず知らずのうちに日本へ富を移行させることに甘んじてしまったかを解き明かす。ホワイティングの文体は、啓蒙的で、人を引きつける力を持っており、彼の結論は日米両サイドから聞こえてくる、保護主義者が使うような安易な表現を裏切ってくれる。
一方、ザペッティは最終的に日本国籍を取り、妻の姓を名乗るようになる。健康状態の悪化と、ピザ帝国の経済的崩壊によって夢破れ、やがて極端な日本嫌いになる。「あんた、映画の『リオ・ブラボー』を見たことあるかい?」ホワイティングは、ある夜ザペッティが外国人客のひとりに話していた言葉を引用する。「いやらしい目つきのカウボーイがたんつぼに金を投げ込んで、町の酔っ払い役のディーン・マーチンがそれにへつらうシーンを覚えているか?それが、日本人が望む外人のイメージだ。日本人は俺たちにディーン・マーチンのようにぺこぺこしてもらいたいのさ」