村上春樹の恋愛世界おすすめ度
★★★★☆
他の村上作品よろしく、「普通」のパーソナリティーを持った人は一切出てこない。
主人公の「ワタナベ君」やヒロインの直子はもちろん、僕たちの平衡感覚とは明らかにことなる登場人物ばかりである。
さらに奇異なのは、登場人物のうち4人もの人々が「死」んでしまう点である。
それも「自殺」という形によって、である。
特に、この恋物語のキーになっている「キズキ」(=ワタナベ君の親友であり、直子の恋人だった。)の自殺の理由は必ずしも明らかでない。
とまあ、相当におかしな物語なのであるが、私は個人的には好きだ。
その理由の一つが、類まれなる比喩のジャンプである。
その中で最も印象に残った台詞が
「世界中のジャングルの虎が溶けてバターになってしまうくらい好きだ。」である。
はっきり言って、意味が不明!と言われてしまえば、返す言葉はない。
しかし、世界中のジャングルや、その中の虎、そしてその虎たちが溶けてゆく様を想像すると何とも面白く、またそれほどまでに「熱い」思いを自分を抱いているだろうか?などと考えると何とも感慨深い。
そのような「村上ジャンプ」が隋所にちりばめられているのである。
この点については好き嫌いが大きく分かれるであろうが、私は好きである。
理性の愛への挑戦おすすめ度
★★★★★
この小説のテーマは、理性の愛への挑戦であろう。
好きな人、愛する人のために、若しくは、見知らぬ人間のために、
その人の気持ちになろうと一生懸命になったことはありますか?
この小説は、そんなあなたに読んでもらいたいと思っています。
特に、次の言葉に同調するあなたに。
「どうしてこんなにがんばっているのに気持ちが伝わらないのだろう?
でも大丈夫、もっとがんばればいつの日か。」
愛や好意といったものには「相性」など、人間にはほとんどどうすること
もできない「不条理さ」があります。しかし、この小説の主人公のワタナベは、
あくまでも誠実に、不条理さと向き合っていきます。
こんなまじめな、誠実な人間はなかなかいません。
私にとってワタナベは大切な友達だし、これは最も大切な小説です。
そこまで惚れ込ませる小説です。
哀しみからの再生の物語おすすめ度
★★★☆☆
主人公と直子との恋。それは、表面上は静かで穏やかに見えた。
けれど、心の中ではお互いがお互いを激しく求め合っていた。
だが、求めても求めても決して得ることのできないものもある。
二人は、寂寞感を抱えながらも一生懸命生きようとしたのだが・・・。
ほかに道はなかったのか?こんなにも哀しい生き方しかできな
かったのか?激しい哀しみは、時に人から生きる意欲さえも
奪ってしまう。そこからどう立ち直り、どう自分を再生すれば
いいのだろうか?読んでいて胸が痛い。ラストに、ある女性が
主人公に言った
「痛みを感じるのなら、その痛みを残りの人生を通してずっと
感じ続けなさい。そしてもし学べるものなら、そこから何かを
学びなさい。」
という言葉が強く心に残った。
音楽を聴いている様な感じ。おすすめ度
★★★★★
この小説は感覚で理解するものです。この切なさは何!?私は読んでいると息が詰まる程に切なくなりました。話の内容を理解するというより、主人公になった気持ちで読んでみると、青春時代のあの胸苦しさが蘇ってきます。大人になった今だからこそ読みたい作品です。
自分を読書好きにしてくれた作品ですおすすめ度
★★★★★
今までほとんどといっていいほど読書をする習慣はありませんでしたが(職業に必要な本を除き)、たまたま村上作品に出会いこの本を読んでから読書の習慣がつきました。
いろいろな作家の作品にも手を出そうとしていますが、なかなかいい作家が見つからないしだいです。
今度映画化されるとあって再度読み返している最中です。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
言うまでもなく最高峰
。このアレンジが秀逸の一品から感じたことは、素晴らしい才能の奥深さ、ということです。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。