僕は(このレビューを書いている今)十代ですが、村上春樹にはノルウェイから入りました。この本が「ただの恋愛小説」なら星五つつけるわけがないわけで、いわゆる「恋愛」を扱った小説ではあるけれど、その主題は別のところに置かれているように思います。もちろん恋愛の本質は捉えられていて、「恋愛というのは人間の感情でしかなく、そこには教養こそあれ幸せは存在し得ない」という姿勢を提示しています。しかし、この小説が素晴らしい理由はそれだけではなく、あくまで「娯楽小説」である点、ではないかと。主人公である「僕」は現実には絶対に存在しないタイプの人間として描かれているし、周りの人々も一般社会から見れば変な人ばかりで、ファンタジーとしての「ノルウェイの森」を際立たせています。
あまりに若いうちに読んで世界観に共鳴し過ぎるのもマズイし、かといって年をとってから読むにはクサ過ぎる、そんな小説。小説を小説として考えられる人には面白い作品なのでオススメです。
軽薄な世相につきつけるホンモノのラブストーリーおすすめ度
★★★★★
ブームはとうの昔に過ぎ去ったいま、この名作を読んだ。
読み終えた翌日の朝、息を吸うたびに、この本の世界に引き込まれるのを感じた。
矛盾だらけの世の中で、誠実さを貫き通すのは難しい。
そんな中で、主人公のワタナベ君は孤独を選び、親友たちは死を選んだ。
その彼らが恋愛する。その愛の形は不器用だ。
でも、とてつもなく「切ない」そして「うつくしい」。
ハデハデしい描写は一切ない。文章だってケレンミない。
でも、生きることの辛さ、生き抜くことの大切さを、静かに深く訴えかけるのだ。
いまは軽薄な世の中だ。改行だらけスカスカの恋愛小説が好まれている。
メディアミックスとかなんとかで、売れればいいという発想が蔓延している。
そんな世相にあって、「これはホンモノ。ホンモノはすごい!」と叫びたくなる一冊。
PS.ヒロインの緑が魅力的。いままで読んだ本の中で一番惹かれる女性だ。
描写が好きおすすめ度
★★★★☆
買って、届いたその日に読んじゃいました。
途中まで読みながら「この印象、どこかで記憶がある…。そうだ、東京ラブストーリーの読後感に似てるな?」と
思いながら読んでいましたが、最後はそうじゃなかった。
フィクションなんだから、直子さんが理想的な美しい肉体に変貌したり、後にも先にも一回きりしかその気になれ
なかったり、直子さんの両親がこともあろうに娘二人に先立たれたり、あり得ないような突飛さがあっても、それ
は仕方がない。この物語の上では重要なポイントなんだなあ、ギリギリセーフ!という感じ。
でも、結末を焦るでもなく、必要なプロセスを丁寧に踏んで(時々結末近くで妙に焦っている小説に出会うことが
ある)、そこへ到達しましたか、納得、で読み終えることができました。
それと、青春時代ならではの物の見え方、考え方が、とても丁寧に描写されているところが気に入りました。
すばらしい!良作!
おすすめ度 ★★★★★
出来は非常に良いです。これだけは手に入れようと思い購入を決めました。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!